後悔④の最後に、「義父はこの後、さらに私の悩みを増やす“ある行動”に出る」と書きました。今回はその話です。それは、家づくりでこだわった「自慢の大きな窓」を、まるごと使えなくしてしまう出来事でした。
義父が「畑をやる」と言い出した
義父が転職して在宅時間が増えたある日、今度は「自分の土地の一部を畑にする」と言い出しました。場所は、私たちの家の南側、駐車場のすぐ横です。
我が家の南側には、大きな窓があります。それでも、この時点では特に何も感じませんでした。「ああ、また何か始めるんだな」——その程度の受け止め方だったのです。まさか、この畑が自分の生活を大きく変えることになるとは、想像もしていませんでした。
畑ができて、激しく後悔した
ところが、いざ畑ができてみると、私は激しく後悔することになります。
義父は、毎日日中に畑仕事をします。すると、我が家の大きな窓から、その姿がずっと見えてしまうのです。そして同時に、こちらもずっと見られているような感覚に襲われました。自分の家のリビングにいるだけなのに、常に視線を感じる。落ち着いて過ごすことができません。
「それならカーテンを閉めればいい」と思われるかもしれません。ですが、我が家の窓はバーチカルブラインドでした。閉めても、羽根と羽根の隙間から、外で何かが動いているのが絶えず見える。結局、視界の端で人影がちらつき続け、私にとっては毎日が苦痛でした。仕事が休みで一日家にいる休日は、なおさらです。

自慢の「3.6mの大窓」が、ただの飾りになった
こうして私は、常にカーテンを閉めておくようになりました。その結果、南側の大きな窓は、いつもカーテンが閉まったままの状態になってしまったのです。
この窓は、家づくりで私がこだわった場所でした。幅3.6メートル、天井まで届く高さがあり、鉄骨造の強みを生かして実現できた、開放感のある大きな窓です。本来なら、明るい陽射しと広がりを楽しめるはずでした。
それが、畑ができたことで一度も本来の役割を果たせないまま、ただの飾りになってしまったのです。せっかくお金と工夫をかけた窓が、閉め切ったまま——。この事実は、私にとって本当に情けなく、悔しいものでした。
「自分の土地ではない」という、どうしようもなさ
この一件がとりわけ苦しかったのは、畑があるのは義父の土地の中だという点です。自分の敷地なら「ここはやめてほしい」と言えたかもしれません。でも、相手の土地で相手が何をしようと、私に口を出す権利はありません。
つまり、私にはどうしようもなかったのです。この「自分ではコントロールできない」という無力感が、じわじわと心を削っていきました。土地をもらって家を建てるということは、自分の家の環境の一部を、相手の判断に委ねてしまうことでもあるのだと、改めて思い知らされました。
「大きな窓」への憧れと、現実のギャップ
家づくりをする多くの人が、「明るく開放的なリビング」に憧れると思います。私もそうでした。大きな窓から光がたっぷり入り、外の緑が見える——そんな暮らしをイメージして、あえてコストをかけて3.6メートルの大窓を選びました。
でも、窓というのは「外の景色」とセットで初めて価値が出るものです。その景色が、毎日義父が出入りする畑になってしまえば、開放感どころか、視線のストレスを生む装置に変わってしまう。窓の価値は、ガラスの大きさではなく「その先に何が見えるか」で決まる——これは、実際に暮らしてみて初めて痛感したことでした。
もし今から家を建てるなら、私は窓を決める前に必ず、その方角の先に「将来何が来ても大丈夫か」を考えます。隣が自分でコントロールできない土地なら、なおさらです。すりガラスにする、位置を高くする、目隠しフェンスや植栽を最初から計画に入れる——打てる手はいくつもあったはずでした。
まとめ|窓の配置は「隣の土地の使い方」まで考えるべきだった
今振り返ると、大きな窓を南側に付けること自体は間違いではありませんでした。問題は、その窓の先が「他人(義父)が自由に使える土地」だったことです。もし設計の段階で「隣が将来どう使われるか分からない」と想像できていたら、窓の位置や向き、目隠しの計画を変えられたはずです。
これから親や義実家の土地に家を建てる方に伝えたいのは、間取りや窓は「隣の土地が将来どう使われても後悔しないか」まで考えて決めてほしいということです。畑になるかもしれない。物置が建つかもしれない。相手の土地である以上、こちらはそれを止められません。
そしてこの出来事は、私の中で「やはりこの土地に家を建てるべきではなかった」という思いを、決定的なものにしました。自慢だったはずの窓を閉め切りながら、私は「この家に居たくない」という気持ちを、日に日に強くしていったのです。
大きな窓は、家の主役になるはずでした。それが毎日カーテンで閉ざされている光景を見るたびに、私は家づくりの選択そのものを悔やまずにはいられませんでした。窓一つとっても、「土地の選び方」がここまで暮らしを左右するのだと、今なら分かります。