妻の実家の土地に家を建てた結果|家を建てると決まってからの違和感③ 〜坪単価高騰への焦りと、一条工務店との仮契約〜

「来月までに契約しないと、坪単価が上がります。できれば、早めにご決断いただけると助かります」

ハウスメーカーの担当者から届いたその連絡が、私たちの焦りに火をつけました。 当時の私たちは、まだ土地の名義すらハッキリしていない状態。親族間の話し合いは泥沼化し、そもそも「本当にここに家が建てられるのか」さえ確定していませんでした。

それなのに。 「今決めないと、損をする」 その恐怖にも似た感情が、冷静な判断力を少しずつ奪っていったのです。

なぜ、一条工務店だったのか

実は、私たちが最初に契約したのはセキスイハイムではありません。 当時、私たちが最も魅了されていたのは「一条工務店」でした。

「家は性能」というキャッチコピーの通り、圧倒的な高気密・高断熱。 「建てるなら、夏涼しくて冬暖かい、性能に妥協しない家がいい」 そう考えていた私たちにとって、一条工務店はまさに理想の選択肢に見えていたのです。

揺らぐ心と「仮契約」という魔法の言葉

私は担当者に、「土地も決まっていないのに契約なんてできない」と正直に伝えました。すると、担当者はこう提案してきたのです。

「一条工務店には“仮契約”という制度があります。今仮契約をすれば、その時点の坪単価で固定できます。もし万が一建てられなくなったとしても、詳細な打ち合わせに入る前なら、手数料の1万円を除いて契約金はすべて返金されますよ」

この説明が、私の背中を強烈に押してしまいました。

「1万円のリスクで、今の坪単価を確保できるなら……」

冷静に考えれば、土地の問題という「土台」がグラグラの状態で、建物の契約を急ぐ必要などどこにもありません。しかし、当時の私の中心にあったのは「理想の家づくり」ではなく、「損をしたくない」という目先の損得勘定でした。

違和感から目をそらした代償

「こんな形で、一生に一度の買い物の契約をしていいのだろうか」

心の奥底で鳴っていた警鐘を、私は無視しました。 こうして私たちは、一条工務店と仮契約を結ぶことになります。

その間も、土地を巡る兄弟間の揉め事は一向に解決の兆しを見せず、状況は平行線をたどったままでした。 見えない足元。急ぎすぎた契約。

この「小さな違和感」が、後に大きな後悔となって返ってくることを、当時の私はまだ知りませんでした。

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