断熱性能は正直あまり意識していなかった|UA値0.51・C値1.6の鉄骨住宅に住んだ本音

以前の記事「夫婦で家づくりを進める方法|優先順位リストの作り方」で、我が家が家づくりの優先順位を決めた話を書きました。リストの中には断熱性能も入っていましたが、正直に言うと、家を建てた当時、断熱についてはそこまで意識していませんでした。

今回は、そのあまり意識していなかった断熱性能について書きます。なぜ意識していなかったのか。そして実際に住んでみて、どうだったのか。数値も体感も、包み隠さず書きます。

正直、断熱性能はそこまで意識していなかった

家選びをしている最中、断熱性能についてはあまり重要視していませんでした。

最初に契約していた一条工務店に惹かれた理由も、「すべての家を耐震等級3で標準にする」という点でした。つまり私が見ていたのは耐震であって、断熱ではなかったのです。性能に関しては、あまり意識していなかったというのが当時の現状です。

ここは、時代背景も少し関係しています。今でこそ、ほとんどのハウスメーカーが耐震等級3を打ち出すようになりました。しかし2021年当時は、耐震について明言しているメーカーはそこまで多くなかったのです。だからこそ「全棟 耐震等級3が標準」という言葉が、強く刺さりました。

その結果、私が気にしていたのは耐震性能と予算で、断熱は「メーカーが決めた仕様のまま」という感覚でした。カタログに数字が載っていても、自分から調べにいくことはなかったのです。

断熱性能を表す2つの数字「UA値」と「C値」

家づくりを進めていくと、必ず出てくる言葉があります。それがC値とUA値です。

  • C値(相当隙間面積)=家にどれくらい隙間があるか
  • UA値(外皮平均熱貫流率)=どれくらい熱が逃げるか

どちらも数字が小さいほど高性能です。そしてUA値の水準によって、住宅は断熱等級4から7に分類されます。

この「等級4」という数字がひとつの目安になります。というのも、今の住宅は断熱等級4以上でないと住宅ローン控除が受けられないからです。必然的に、これから家を建てる人は等級4をスタートラインとして考えることになると思います。

※断熱性能の考え方については、国土交通省の省エネ性能表示制度「断熱性能」のページが分かりやすくまとまっています。

断熱等級とUA値の目安を示した表。等級4は0.87以下、等級5は0.60以下、等級6は0.46以下、等級7は0.26以下。我が家はUA値0.51、C値1.6
断熱等級とUA値の目安(5・6地域)。我が家は今の基準でいうと「等級5」相当にあたる

我が家の実際の数値|UA値0.51・C値1.6

私が家を建てた2022年当時は、まだ断熱等級という区分そのものがありませんでした(等級5〜7が新設されたのは2022年です)。

その我が家の数値が、こちらです。

  • UA値:0.51
  • C値:1.6

今の基準に当てはめると、UA値0.51は「断熱等級5(ZEH水準)」相当です。突出して高性能というわけではありませんが、まずまずだと思っています。

鉄骨は、どうしてもC値で不利になる

一方でC値1.6という数字は、今どきの高気密住宅と比べると見劣りします。ただ、これには理由があります。

鉄骨は気密テープが貼りづらく、さらに熱膨張もあるため、気密性を保つことが構造的に難しいのです。木造で徹底的に気密を詰めた住宅と同じ土俵では戦えません。鉄骨を選ぶ時点で、ある程度は織り込んでおくべき数字だと思います。

住んでみた実感|「問題はない。でも温度にムラがある」

ここからが本題です。実際に住んでみてどうだったか。

結論から言うと、特に問題はないというのが率直な感想です。冬に凍えるようなこともなく、夏に耐えられないということもありません。断熱をあまり意識しないまま建ててしまったことを、日々後悔しているわけではないのです。

ただ、本音を言えば温度にムラがあります。家中どこでも同じ温度、という快適さではありません。

そして、そのムラが一番はっきり出るのがお風呂場です。

一番寒いのは浴室|換気扇を回した瞬間に一気に冷える

お風呂場は、換気扇を回すと一気に温度差を感じやすくなります。せっかく温まった浴室の空気が、換気扇によって外に吸い出されていくからです。

そして、ここが重要なポイントなのですが——浴室に関しては、断熱等級の差を感じにくいと私は思っています。

理由はシンプルで、浴室はユニットバスという「箱」が家の中に入っている構造だからです。家全体の断熱をいくら上げても、換気扇を回して空気を入れ替えれば、浴室は冷えます。UA値0.51でも0.26でも、換気扇の前では同じです。

冬の入浴時の温度差のイメージ図。リビング20度、脱衣所12度、浴室(換気扇ON)10度、湯船のお湯40度
断熱性能が高くても、浴室は換気扇を回した瞬間に冷える

一条工務店には「浴室の床暖房」がある

この点で優れているのが、やはり一条工務店です。浴室にも床暖房が入るので、温度差を感じづらくなっています。

ただし、浴室の床暖房は今のところ一条工務店以外は非対応です。「床暖房があるから大丈夫」と考えられるのは、一条工務店を選んだ人だけということになります。

他社で建てるなら、浴室暖房乾燥機は付けたほうがいい

では、一条工務店以外のハウスメーカーや工務店で契約している場合はどうするか。私の答えは「浴室暖房乾燥機を設置したほうがいい」です。

「電気代が高いから」と敬遠されがちな設備です。確かに電気代はかかります。でも、ここをケチる必要はないと私は思っています。

理由1:浴室の冷えはヒートショックにつながる

暖かい部屋から寒い脱衣所・浴室へ移動し、そこから熱いお湯につかる。この急激な温度変化は血圧を大きく変動させ、ヒートショックを引き起こす引き金になります。

消費者庁も冬季に多発する高齢者の入浴中の事故について注意喚起を出しており、その対策の筆頭に挙げられているのが「入浴前に脱衣所や浴室を暖めること」です。

これは、快適さの話ではなく安全の話です。今は家族が若くても、家には何十年も住みます。

理由2:思っているほど電気代は変わらない

もうひとつ、誤解されやすい点があります。

1日中、浴室暖房を付けっぱなしにするわけではありません。入浴前の十数分、温めるだけです。エアコンや床暖房のように常時稼働させる設備ではないので、毎月何万円も電気代が変わるわけではないのです。

「電気代が高い設備」というイメージだけで見送ってしまうのは、もったいないと思います。

まとめ|断熱を意識していなかったことを、今どう思うか

正直なところ、断熱をそこまで意識せずに建てたこと自体は、大きな後悔にはなっていません。UA値0.51という数字は、日常生活で不満を感じるレベルではありませんでした。

ただ、家づくりの最中に気づけなかったことが、ひとつあります。

それは、「断熱性能」という数字と、「実際に寒いと感じる場所」は、必ずしも一致しないということです。

UA値やC値は、家全体を平均した数字にすぎません。その平均値が良くても、換気扇が回る浴室、暖房のない脱衣所、廊下といった「点」は、別の対策が必要です。そしてその対策は、浴室暖房乾燥機のように、契約前に決めておけば数万円で済むものだったりします。

数字を追いかけるだけでなく、「冬の朝、自分がどう家の中を移動するか」を想像してみてください。そこに寒い場所があるなら、そこだけをピンポイントで対策する。それが一番コストパフォーマンスの良い断熱対策だと、住んでみて思いました。

次回は、断熱材そのものについて書きたいと思います。

【次の記事はこちら】
断熱材の選び方|熱伝導率より「熱抵抗値」でハウスメーカーを数値化する方法