後悔③では、親戚旅行の一件をきっかけに、私が義父を決定的に嫌いになったことを書きました。今回はその続きです。一度芽生えた拒絶の感情は、日常の中でさらに深まっていくことになります。
「話したくない、目も合わせたくない」
あの旅行の件以来、私は義父を心の底から拒絶するようになりました。同じ敷地に住んでいながら、できることなら話もしたくない。顔を合わせても、目も合わせたくない。そこまで感情がこじれてしまっていたのです。
とはいえ、すぐ隣に住んでいる以上、完全に距離を置くことはできません。そして、そんな私の願いをあざ笑うかのように、状況はさらに悪い方向へと転がっていきます。
義父が突然「転職」してきた
ある日、義父が何の前触れもなく仕事を辞めてきました。聞けば、それまでの日勤の仕事から、早朝・深夜の仕事へ転職するというのです。
最初は「本人が決めたことだし、うちには関係ない」と思っていました。ところが、この転職が私の生活をさらに追い詰めることになるとは、その時は想像もしていませんでした。
「四六時中、隣にいる」という現実
義父の新しい職場は、深夜に働いて朝に帰宅するという勤務形態でした。
これが何を意味するか——。朝に帰ってきて、そこから夜まではずっと家にいる。つまり、ほぼ一日中、義父が隣にいるということです。日勤の頃はまだ昼間は不在でしたが、転職後は昼も夜も、四六時中すぐ隣に義父がいる生活が始まりました。
拒絶したい相手が、24時間いつでもそこにいる。私にとっては、逃げ場のない毎日の始まりでした。

自由時間の“侵入”が日常になる
義父が一日中家にいるということは、それだけ私たちの生活に関わってくる時間も増えるということです。
何か少しでも用事があれば、すぐに窓をノックされる。有り余った自由時間の中で、こちらの都合はお構いなしに敷地へ入ってこられる。以前から感じていた“勝手に入ってくる”という問題が、この転職によって一気に頻度を増したのです。
自分の家にいるのに、いつノックされるか分からず気が休まらない。この頃の私は、心から寛げる時間そのものを失っていました。
「いつでも頼れる」ことの落とし穴
そしてもう一つ、隣に実家があることの弊害が、家族の側にも表れ始めます。
「いつでも頼れる」という環境は、一見ありがたいものです。しかし、それは裏を返せば「いつでも甘えられる」ということでもあります。妻も自然と実家を頼るようになり、子どもを四六時中、義実家に預けるようになっていきました。

当時、長男・次男はまだ保育園に通っていませんでした。そのため、長男は日中ずっと妻の実家に預けられ、夕方にはおやつをもらう。すると、お腹がいっぱいで晩ご飯を食べない——そんな負のサイクルに入ってしまったのです。
もちろん、孫を思ってのことだとは分かっています。でも、生活リズムや食事の習慣が少しずつ乱れていくのを目の当たりにして、私は「これは本当に子どものためになっているのだろうか」と、割り切れない思いを抱えていました。近すぎる距離は、良かれと思った甘やかしまで、簡単に日常へ入り込ませてしまうのです。
「嫌いな相手が常にそこにいる」というストレス
人間関係のストレスは、相手と「どれだけ距離を取れるか」で大きく変わります。職場の苦手な人なら、家に帰れば忘れられます。近所の苦手な人でも、顔を合わせるのは月に数回でしょう。ところが私の場合、拒絶したい相手が塀一枚隔てたすぐ隣に、しかも一日中いるのです。
義父が転職して在宅時間が増えてから、私は家にいても常にどこかで身構えるようになりました。「今日は窓をノックされないだろうか」「庭に出てきていないだろうか」——そんなことを無意識に気にしてしまう。物理的には自分の家にいるのに、心はまったく休まらない。この“逃げ場のなさ”こそが、義実家の隣に建てて最もつらかった点だと、今でも思います。
家を建てる前、私はこうした「相手の生活リズムの変化」まで想像できていませんでした。相手にも人生があり、仕事が変わることもある。その一つひとつが、逃げられない距離では、そのまま自分の生活を直撃してくるのです。
まとめ|「近さ」と引き換えに手放したもの
土地をもらい、隣に住む。それは「経済的なメリット」や「困った時に頼れる安心感」と引き換えに、自分たちの生活のペースや、心地よい距離感を手放すことでもありました。
義父を拒絶したい気持ちと、24時間すぐ隣にいるという現実。そして、子どもの生活リズムの乱れ。私の悩みは、増える一方でした。義実家の隣に家を建てるということは、こうした「近さゆえの負担」とも長く付き合っていくということなのだと、身をもって思い知らされました。
そして——義父はこの後、さらに私の悩みを増やす“ある行動”に出ます。その話は、次の記事で書きたいと思います。
これから親や義実家の土地に家を建てる方には、ぜひ「相手の生活リズムが変わっても大丈夫か」という視点も持ってほしいと思います。今は昼間いない相手でも、定年や転職で在宅時間が増えることは十分にあり得るからです。
【次の記事はこちら】
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